Tableaux シリーズ - アーティスト・ステートメント

被写体は16世紀から18世紀の絵画です。
撮影はすべて自然光でおこないました。
つまり"すでにそこに在る光"です。

16世紀から18世紀にかけて、まだ人間には「我々が作り出す光り-人工の光り」を手に入れることが出来ませんでした。
画家は輝く太陽からその恩恵を授かるか、わずかな蝋燭の微光のなかで制作を進めていました。

TABLEAUX タブロー(絵画)シリーズを制作するのに重要なコンセプトは、
"被写体となる絵画が制作された時代と同じ条件に戻る"
ということでした。

だからこの写真に現れたイメージと同じものを
貴方もこの絵の前に立てば観ることが出来るのです。
いやすでに貴方はこの写真と同じイメージを過去に観ているはず。
しかし記憶(記録)というのは曖昧なものです。
すでに観ているはずのイメージが自分の想い描いているものと違うのならば…?
きっと貴方はその瞬間を抹消することでしょう。
だからこの作品を観ると動揺する。
何故ならば自分が知っているはずのイメージとは違う"なにか"がそこには存在するから。
そしてみずから(人間)の記憶がいかに曖昧であるかを理解するでしょう。

オリジナルの絵画とはかけ離れたイメージがそこにはある。
貴方が知っている「どこか画集で、あるいはインターネットで、大量なイメージの中で知っているはず」ものとは違う"なにか"がここに写っている。
それは光りが描き出した"もうひとつの絵画"と言えるでしょう。
そして本来の主役であるオリジナルイメージが存在せず、
脇役(額装)が舞台の中央に立っている。

素晴らしい絵画も、彫刻も、そして写真も…
すべてが光りの恩恵のもと出現してきます。
それは光無くして何も存在することは出来ないのだ、と。
そして光とは「すでにそこに在るすべて」なのです。
決して忘れてはいけないすべて。

小野 祐次

作品 gelatin silver print

サイズ
110cm×95cm (エディション1/12)
80cm×60cm (エディション1/12)

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